MUKU-DATA  樟(クス)一枚板 天然乾燥材

クスノキの一枚板7枚の表面を仕上げる為、加工へ出した。
仕入れは2016年10月なので、もう5年が経過しようとしている。
(1年先でも今の時代どうなってるかわからんのに、5年かぁ・・と思う。
でも材は長く寝かせれば寝かせるほど、実際に使う前の加工は
その持つ木の癖が出ていて加工時に対処しやすいので、長い時間寝かせた木は
ユーザーにとっては悪い事ではないのかと思う。
問題があるとすれば在庫を抱えている方かな😓
乾燥を兼ねて寝かせる時間はなかなか価格に反映されない。)

『天然乾燥材』乾燥5年乾燥10年という言葉は、材を扱う我々にとっては
魅力的な言葉なのだが・・・

この7枚の樟は、別な樟で全面に杢目がある樟1枚を購入する際に、
こちらもまとめてお願いされたもので比較的リーズナブルで買えたもの。

一枚板はその木目にもよるので一概には言えないが、
一般的な木目の場合、一番安いものが杉、杉以外の広葉樹で・・となると
樟がくるかと思う。樟と栃、何が違うか?同じ木ではないか?とは思うが
栃になると価格は別な次元となる。
なので、国内の家具市場、一枚板市場を見てみると
樟で作られた学習机や一枚板天板が目立ってみえる。
これはすなわち、価格優先、安いものが売れるから・・の傾向だと思う。
むろん、樟の香りはリラックス効果があるとされるし、
触り心地も程よく、本来は良い木かとは思う。
(杢目のある樟になると、価格は別次元へとなってしまう)

試しに、樟の価格と栃の価格が逆転したのなら
市場は一斉に樟から栃へと材種が切り替わっていくだろう。

建築資材も同様で、例えば土台、栂注入土台が高くなり価格が逆転すると桧へとなり、
間柱材もホワイトウッドが2割程度安かったものが高くなり他の材単価を越えると
次第に杉へとどこも変わっていく。一斉に雪崩打って変わると言ってもいいだろう。
本来は適材適所、赤松間柱を好む工務店さんはそれなりに赤松は仕事がし易く、釘の効きがほど良いなど理由があったのだが・・・
建築用資材なら構造に支障なく、であるならわざわざ高い材を使うまでもないのかもしれないが・・・

だけど、一枚板って共に暮らすものだし、好みも分かれるだろうし、、、
どーもそういった市場動向が府に落ちなく冷めた目で眺めている。

樟自体、本来はとても表情が豊かな材。
木を多く扱う我々業界でも樟好きのオヤジさんは何人かいる。
それぞれに目を利かせ、個性的な樟を取り扱っている。

今回の5年寝かせたこの7枚は、木口割れはあるものの、
反りも辺材の害虫被害も殆どなく、、
(寝かせの間、さほど神経質には見ていなかったのだが、
どういう訳かレアな材、高い木が寝かせている間に傷んでいくことが多いのも
もう随分と慣れてきた・・)
素直な木目の7枚で、価格も比較的安く出せそうな樟です。

樟はクスの良さがあり、杉はスギの良さがある。
高価な木が良いわけではなく、安めの木でも個性的な木は多くある。
それを迎え入れて、共に暮らし、手入れをしながら使い込んでいく事
自分仕様の自分らしい、家族らしい、木へと姿を変えて馴染んでいくもの。
木の良さはそこにあり、価格ではない。